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プロフィール

如月東子

Author:如月東子
C’est l’enfance de l’art.へようこそ。
(セ・ランファンス・ドゥ・ラール)

昔から絵を見るのが好きで、美術系の大学に行き「美術史」などを少し勉強しました。

その後、美術とは関係ないお仕事についたけど、美術について、普通の人よりはちょっぴりだけ多く考えてきました(多分)。

そんな私が、これまで美術鑑賞をするなかで気づいたこと・感じたこと・考えてきたことの中には、美術をもっと楽しみたいと思ってる人に、なにかヒントになることがあるかもしれません。

美術鑑賞の記録を中心に、美術館などの紹介や鑑賞の役に立つ情報などを載せていければ、と思います。

皆さんのお役に立てれば幸いです☆

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展覧会review サントリー美術館《エミール・ガレ展》


こんにちは如月東子です。
今日は、六本木にあるサントリー美術館で開催中の
オルセー美術館特別協力生誕170周年〈エミール・ガレ〉展の感想です。


エミール・ガレ(Charles Martin Émile Gallé 1846−1904)は、
アール・ヌーヴォーを代表するガラス工芸家として知られています。


今回の展覧会は、
主にサントリー美術館が所蔵する
エミール・ガレのガラス作品を多数展示すると共に、
ガレがデザインした陶器や木製の家具などが展示されています。

さらに、オルセー美術館所蔵のデッサン等の出品があり、
ガレの創作の過程やインスピレーションの源を
探ることができる展覧会となっています。



【この展覧会の特徴】

展覧会の最初と最後を飾るのは
「ガレと究極」と銘打たれたこの2つの作品。
最初に目にするのは蜻蛉の象嵌を施された白っぽいガラスの脚付杯。
そして、最後を飾るのは「ひとよ茸」の形をした
1メートル近くあるガラスのランプ。

「ガレが創作を通して追い求めた最終的、究極的形態はなにか?」
という問いにこたえるべく、
ガレを理解するための下記の5つのテーマが設定されています。

Ⅰ ガレと祖国
Ⅱ ガレと異国
Ⅲ ガレと植物学
Ⅳ ガレと生物学
Ⅴ ガレと文学


展覧会の冒頭にパネルでもって展覧会の構成が明確に示されており、
テーマ性を非常にはっきり打ち出した特徴ある展覧会だと思います。



【私のみどころ】

Ⅰ章おいては、
高級陶器とガラス器の製造販売会社を営む家に生まれたガレが、
フランスの伝統的な技法や文様を習得して行った頃の作品や、
普仏戦争に義勇軍として参加までしたガレの
愛国心・愛郷心を感じさせる作品などが見られて興味深いです。



また、Ⅱ章でみられるように、
「万博の時代」を背景として、
世界の様々な地域の様々なモノから、
意匠的のみならず、技法的なインスピレーションを得ていた点も
非常に面白いところでした。

おもわず、日本や中国の陶器、堆朱などの漆製品、金属器を
なぜガラスで再現するのか?と思ってしまいました。

…が、おそらくガレにとってそれは「再現」などではなく、
ガラスの技法の新しい可能性をひらくための
一つのヒントに過ぎなかったのだろうと思います。


ガレ作品の真骨頂が見られるのは、
主にⅢ〜Ⅴ章にかけて展示されている作品群。
特に90年代後半から最晩年にかけての
植物や生物たち、そしてポエジーそのものを
ガラスの形態に落とし込んだかのような物体。

作品は次第に重く、暗くなり、
形態の輪郭はぼやけていきますが、
作品としての強さはますます強くなり、
まだ形にならない生命のような曖昧模糊とした力があります。



展覧会の一つの結論は、
「ガレの究極」は「ガラスで作られた彫刻
ということではないかと思います。

ここで「彫刻」とは単なる三次元の造形物をいうのではなく、
真に芸術的であるもの、
人間の根源的ななにかに触れるもの、
すなわち「命ある形」のことを指すのだろうと私は感じました。


実用性と結びついたガラス器という工芸作品。

伝統的には、
絵画や彫刻などの「ファイン・アート」とは区別され、
一段低いものと考えられていて、
ガレの作品への評価も当初そのようなものだったのかもしれません。


しかし、ガレはそのような区別はやすやすと飛び越えて、
ガラスにしか表現できない方法で、
生命そのものを表現してしまったのです。


動植物への深い深い関心と、人の心への繊細な感覚とが、
これほどインパクトのある、存在感のある形態へ
現実化することがあるでしょうか・・・?


おそらくガレはその作品によって、
当時の形骸化した「大芸術」の
革新すらおこなってしまったかもしませんね。


***


ガレの生きた時代性を背景としつつ、
時代との関わりでガレ作品を理解するというよりも、
ガレ自身の内面に降りていき、
その目から世界をみることで、
芸術家の創造の根源に迫るようなアプローチを感じました。

深い印象を残す展覧会でした!




サントリー美術館
オルセー美術館特別協力 生誕170周年 エミール・ガレ
2016年6月29日(水)~8月28日(日)
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2016_3/display.html

(展覧会企画・構成 土田ルリ子さん サントリー美術館学芸員)







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