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プロフィール

如月東子

Author:如月東子
C’est l’enfance de l’art.へようこそ。
(セ・ランファンス・ドゥ・ラール)

昔から絵を見るのが好きで、美術系の大学に行き「美術史」などを少し勉強しました。

その後、美術とは関係ないお仕事についたけど、美術について、普通の人よりはちょっぴりだけ多く考えてきました(多分)。

そんな私が、これまで美術鑑賞をするなかで気づいたこと・感じたこと・考えてきたことの中には、美術をもっと楽しみたいと思ってる人に、なにかヒントになることがあるかもしれません。

美術鑑賞の記録を中心に、美術館などの紹介や鑑賞の役に立つ情報などを載せていければ、と思います。

皆さんのお役に立てれば幸いです☆

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展覧会review《英国の夢 ラファエル前派展》

こんにちは如月東子です。

今日は、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の
《リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派展》
鑑賞の感想です。


***


リバプール国立美術館(National Museums Liverpool)は、
イギリス、イングランドはリバプール(とその周辺)にある
7つの美術館・博物館の集合体です。

19世紀、リバプールは海運貿易で栄え、
ロンドンに次ぐ「帝国第二の都市」とまで呼ばれました。
そこで財を成した商人らが蒐集した美術品を基礎に出来上がっているのが、
リバプール国立美術館です。

今回の展覧会の出品作品は、
リバプール国立美術館のうちでも、
ヴィクトリア時代の作品やラファエル前派のコレクションで
世界的に有名な下記の3館から集められました。


ウォーカー・アート・ギャラリー(Walker Art Gallery)
http://www.liverpoolmuseums.org.uk/walker/about/history/1819-1871.aspx
レディ・リーバー・アート・ギャラリー(Lady Lever Art Gallery)
http://www.liverpoolmuseums.org.uk/ladylever/index.aspx
サドリー・ハウス(Sudley House)
http://www.liverpoolmuseums.org.uk/sudley/index.aspx


3つの美術館から、65点の作品が来日しています。


展覧会の構成は以下のとおりです。

Ⅰ.ヴィクトリア朝のロマン主義者たち
Ⅱ.古代世界を描いた画家たち
Ⅲ.戸外の情景
Ⅳ.19世紀後半の象徴主義者たち




【この展覧会の特徴】

上記の章立てからも分かりますが、
展覧会タイトルのようなラファエル前派メインの展覧会ではありません。

ガブリエル・ロセッティエヴァレット・ミレイ
そしてホルマン・ハントらが、
ラファエル前派を結成したのは1848年。
この美術グループは、1850年代半ばには解散します。

しかし、本展覧会で展示されている作品はほとんど1855年以降の作品で、
初期ラファエル前派の作品といえるものはありません。


むしろ本展覧会は、
19世紀後半〜20世紀初頭のイギリス絵画の潮流全体を
おおまかに概観するような内容となっています。


ラファエル前派の特徴である
ロマン主義文学的嗜好のほか、
古典古代への傾倒オリエンタリズム
実証主義科学主義
そして世紀末の象徴主義・・・。

以上のようなイギリス絵画の様々な側面が見られますが、
古典古代の世界を実証的な裏づけをもって描いた
ローレンス・アルマ=タデマ
やはり古典古代の世界を描くことを得意とし、
国内外で名声を博したフレデリック・レイトン
そして、かつてはラファエル前派の中心にいて、
やがてアカデミーの重鎮となったE. ミレイ
作品数が多いのが特筆できるでしょう。


一方で、ラファエル前派の、特に後半の時期についてもめくばせがあり、
気づきを得られます。
「ラファエル前派」の運動を下記の3つの時期に区切り、
それぞれの特徴的な作品を解説・展示していて
半世紀にわたるその変遷がわかりやすく伝わってきました。

Ⅰ.結成時(ロセッティ、ハント、ミレイ)
  ※当時の作品はきていない
Ⅱ.19世紀末の象徴主義的時期(バーン=ジョーンズ)
Ⅲ.20世紀の復興の時期(ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス)



このなかで、有終の美をかざるウォーターハウスは、
力量ある画家だと思いますが、
どこかしら退廃的で、画面に抜け感がなく(閉じ込められた感じがある)、
1920年にさしかかろうという時期に描かれたとは思えない
前時代感が印象的でした。



【私のみどころ】


1.エドワード・バーン=ジョーンズ
  《スポンサ・デ・リバノ》(1891年)

3メートル以上ありそうな非常に巨大な作品ですが、
紙にグアッシュ(不透明水彩)で描かれています。

2012年に兵庫県立美術館で、
《バーン=ジョーンズ展〜英国19世紀に咲いた華》
という展覧会をみましたが、
正直、私は彼の作品はあまり好きではありません。

美的趣味はおいておいても、
特に、彼の油彩画を描く技術の未熟さが気になってしまいます。
作品の規模が大きくなると、その点が目立ちます。

ただ、構図の独創性や世界観の構築性は高く、
画集等でみると実物よりも良い絵に感じられるため、
バーン=ジョーンズが現代に生まれていれば、
CG技術などを使うことで、もっと能力を発揮したかもしれない、
と想像していました。

上記の作品は、巨大な絵ですが、
グアッシュという、油彩に比較すると扱い易い画材を用いているため、
技術的な拙さが(比較的)気になりません。
バーン=ジョーンズの素晴らしさがわかる作品ではないでしょうか。

兵庫県立美術館《バーン=ジョーンズ展〜英国19世紀に咲いた華》
http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_1209/index.html



2.Ⅱ章の画家達の作品

ローレンス・アルマ=タデマ、フレデリック・レイトン、
チャールズ・エドワード・ペルジーニ、
エドワード・ジョン・ポインター



アカデミーで高く評価された
筆跡を見せないなめらかなマチエールや
印象派以降であることを感じさせる鮮やかな色彩、
こちらの視線に対し、惜しみなく「見られる」華やかな女性達。

彼らの作品は細密でおそろしく美しく、
その高い技量でもって、
ヴィクトリア朝の闇をすっぽりと覆い隠しているようです・・・。


***


「ラファエル前派」の作品を目当てに行くと
すこし期待はずれかもしれませんが、
19世紀後半のイギリス絵画の様相が
バランスよく見られる展覧会ではないかと思います。


小さい展覧会なので、気軽に足をはこべると思いますよ。

Bunkamura ザ・ミュージアム
2015年12月22日〜2016年3月6日

http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/15_raffaello/



【巡回】
新潟市美術館 2015年7月19日(日)~9月23日(水)(終了)
名古屋市美術館 2015年10月3日(土)~12月13日(日)(終了)
山口県立美術館 2016年3月18日(金)~5月8日(日)

【参考】
リバプール国立美術館
http://www.liverpoolmuseums.org.uk/




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