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プロフィール

如月東子

Author:如月東子
C’est l’enfance de l’art.へようこそ。
(セ・ランファンス・ドゥ・ラール)

昔から絵を見るのが好きで、美術系の大学に行き「美術史」などを少し勉強しました。

その後、美術とは関係ないお仕事についたけど、美術について、普通の人よりはちょっぴりだけ多く考えてきました(多分)。

そんな私が、これまで美術鑑賞をするなかで気づいたこと・感じたこと・考えてきたことの中には、美術をもっと楽しみたいと思ってる人に、なにかヒントになることがあるかもしれません。

美術鑑賞の記録を中心に、美術館などの紹介や鑑賞の役に立つ情報などを載せていければ、と思います。

皆さんのお役に立てれば幸いです☆

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近くて遠い味わい

こんにちは如月東子です。

今日は、奈良国立博物館で開催中の
〈第66回 正倉院展〉の感想です。


***


いわずとしれた正倉院展。
毎年欠かさず行かれる方も多いでしょうが、
私が行くのは今回で2回目です。


前回行ったのは2006年だったかと思いますが、
それはもう非常な混雑でした…。

今回もそれを覚悟して行きましたが、
平日の閉館2時間前の4時頃に到着した際は、
それほどの混みようではなく、
だいぶ見やすい状況でした。

ただ、入口には、行列対応のテントが張られており、
もちろん日時によっては入場規制があると思います。


博物館の前の公園内では、
正倉院展に合わせてかフードフェスタが行われていて、
奈良の食材などを楽しめるようです。
http://nara-foodfestival.jp/
(11月3日まで)


***


今回、会場は大きく6つぐらいのパートに分かれていました。
 1. 舞楽の仮面やお衣装
 2. 聖武天皇の持ち物だった宝物や家具など
 3. 武具など(弓矢や矛など)
 4. 鏡
 5. (正倉院の管理を任されている)東大寺の地図など
 6. 皇族や貴族が法会などに奉納した宝物など

それと、正倉院宝庫の隣にある「聖語蔵」という蔵に収められている
経典がいくつかありました。


***



正倉院展のようなところにいくと、
1000年以上前の布製品や紙などが原型をとどめたまま残っていて
いつも驚かされます。

特に布製品がこれだけの質で残されているのは
世界でも珍しいそうですね。


楽舞用の肌着はガーゼのような見た目。
聖武天皇のベッドの上に敷いたという一枚の布には
微妙な色調で模様が織り出されています。

用途によっても違うのでしょうが、
どれも薄手で、細くちょっとこわい糸で織られているように見えます。
(固そうに見えるのは、単なる経年変化かもしれません)

心細いような薄い布に見えますが、
当時の最高の技術を使って織られているのでしょう。

まだ十分な設備もなく、
あらゆることの技術水準が発展途上だったであろう当時の日本では、
一つ一つの作品が、
作り手の細心で途方もない忍耐によって作られていたのでしょう…!

もちろん、
そのことはその他の全ての作品についていえるのでしょう。
でも、布製品はそういう過程が
比較的わかりやすく感じられるような気がします。


敷布に関連していえば、
聖武天皇の愛用品として
ベッド・マットレス代わりの畳が展示されています。

なんだか固そうですが、よく眠れたのでしょうか?


***


やはり聖武天皇の愛用品として、
30㎝×20㎝くらいの
大理石の浮き彫りのプレートの展示がありました。

いくつかある同形のプレートのうちの一枚らしいですが、
干支のうち「馬」と「羊」が絡み合って(戦って?)いる
図様が描かれています。

明治時代に「鎮子(ちんす)」
すなわち「重し」とされたモノらしいのですが、
実際の用途は不明。
仏像をのせる台座を形成するものだったかも、
という仮説があるそうです。

この大理石はどこのもので、
どこで彫られたのでしょうか?
あの図様はどこ由来のものなのでしょうか?

その後にはみられないような素材や図様を見ると、
当時の人々(上層階層に限る)が、
想像以上に、大陸文化とダイレクトにつながっていることを
感じられて大変面白いですね。

聖武天皇たちはどんな風に思って眺めたのでしょう?
すごく新しくてカッコいい、と思ったでしょうか…?


正倉院展にはでていませんが、
最近、唐三彩を真似たであろう
奈良時代の「三彩」を見る機会がありましたが、
当然ながら、
平安の美意識とも、
茶の湯完成後の15〜6世紀以降の美意識とも、
江戸の美意識とも違い、
同じ地域内の文化とは言っても、
決して一括りに語ることはできません。

近くてすごく遠い。

そういうことを感じられるのが、
日本の古代の文物を見る楽しみの一つです。


***


今回の展覧会の目玉にもなっている《鳥毛立女屏風》。

六扇のうち二扇は、現在、東京国立博物館の〈国宝展〉に
出品されているそうで四扇のみの展示。

技法的には、紙に白土の下地を塗り、
下絵を写して、それを墨で描き起こしたものらしいです。

顔や手、着物の一部だけが彩色されています。

着物や髪の毛には鳥毛を貼付けていたのでしょうが、
鳥毛に隠れるにしては着物の模様などが
それなりに細かいレベルで筆書きされています。

とすると、鳥毛はそのかなり細かい区分に対応して
貼付されていたのでしょうか?
思いのほか細かい作業です。


樹木や岩石の表現も、
その後はあまり見かけない表現のように思いました。
陰影なのか、短い草の表現なのか、
はたまたヴォリューム表現なのか、
輪郭に直角な筆跡が残っているのが不可思議です。


鳥毛立女


今後の日本絵画鑑賞の際に、思い出したい筆致です。


***


最後に、ぜひ見ていただきたいのが《鳥獣花背方鏡》。
四角い形の鏡です。
白っぽい銅製で、
獅子と葡萄、その他、鳥などがレリーフになっているのですが、
本当に見事な鋳造です。


鏡を専門に研究している友人によると、
七世紀終わり頃に中国からきたものと考えられ、
技術的にはこれが頂点といってもいいようなレベルのものらしいです。

一見してわかるその美しさから、多くの鑑賞者を集めていました。


上記の方鏡を含め、細かい細工がされた作品が多いですから、
単眼鏡などを持っていくことをおすすめします。



毎年開催されるとはいえ、
一度出品された作品は、その後10年は出品されない
ということらしいので、
少しでも見たいと思う作品があれば、
ぜひ足をお運びください。


〈正倉院展〉
会期:2014年10月24日ー2014年11月12日
会場:奈良国立博物館
http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2014toku/shosoin/2014shosoin_index.html
混雑状況の情報は以下
http://www.yomiuri.co.jp/shosoin/


ついでに…
奈良公園のおとなり、
興福寺の北円堂の秋期特別公開が11月9日まで。

運慶作の弥勒如来などが見られますので合わせてどうぞ。


今日はこれぐらいで。
それではまた。


追記:
正倉院の宝物の検索サイトがあります。
参考までに。
http://shosoin.kunaicho.go.jp/shosoinPublic/search.do

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