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プロフィール

如月東子

Author:如月東子
C’est l’enfance de l’art.へようこそ。
(セ・ランファンス・ドゥ・ラール)

昔から絵を見るのが好きで、美術系の大学に行き「美術史」などを少し勉強しました。

その後、美術とは関係ないお仕事についたけど、美術について、普通の人よりはちょっぴりだけ多く考えてきました(多分)。

そんな私が、これまで美術鑑賞をするなかで気づいたこと・感じたこと・考えてきたことの中には、美術をもっと楽しみたいと思ってる人に、なにかヒントになることがあるかもしれません。

美術鑑賞の記録を中心に、美術館などの紹介や鑑賞の役に立つ情報などを載せていければ、と思います。

皆さんのお役に立てれば幸いです☆

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ココこんなとこ!〜日本民藝館(東京・駒場東大前)〜

こんにちは如月東子です。

今日は、日本民藝館の紹介と感想です。


***


前々から気になってなかなか行けずにいた
日本民藝館に行ってきました。

最寄り駅は、京王井の頭線駒場東大前です。


日本民藝館は、柳宗悦が中心となって1936年に開館。
古民家のような趣をもつ建物は、
柳宗悦が設計したものだそうです。


民藝館


入口の扉をがらりとあけると正面に木製の大階段。
途中から二股にわかれています。

入口を入ったら、靴を脱いでスリッパに履き替えます。
この入口のロビーは板敷きではなく、
石灰岩のような材質の石でできたタイルが貼られています。
純和風ではない現代的な趣があります。


入って左手に受付。
ロッカーはありませんので、
必要があれば受付に預ける必要があります。


平日の午後3時頃に到着しましたが、
けっこうな人の入り。

混雑していて見にくいというほどではありませんが、
小さな美術館(?)にしては、
かなり人がきている方ではないでしょうか。

比較的年配のちょっとハイソな感じの女性連れが
多かったような印象です。


展示スペースは1階と2階あわせて8室。

いぶされたような板材の部屋に、
古めく色合いの材木を使ったどっしりとした展示ケース。
器、漆器、染め物、布で装丁された本などが、
まるで誰かが住んでいるおうちの
さりげない飾りのように置かれています。

柳宗悦の理念に従い、
展示作品への解説はほとんどなく、
黒い地に朱字で作品の種類・年代が書かれているのみでした。


***


私が訪れた際は、企画展示として
〈カンタと刺子ーベンガル地方と東北地方の針仕事〉
という刺繍の展示をしていました。

民藝館看板


いままで、刺繍の作品に特別な関心はなかったのですが、
カンタの自由な表現には興味を引かれました。

「カンタ」というのは、
インドからバングラデシュにかけての地域で
女性達によって作られていた刺子です。
(刺子:綿布を重ね合わせ一面に細かく刺し縫いにしたもの)

このような様々な図様を刺繍するようになったのは
19世紀になってからだそうですが、
様々な事情で、この伝統は1世紀半くらいで廃れてしまったそうで、
現在残っているものはとても貴重なものです。

この地域の女性は、移動や経済的自由がほとんどなく、
日常の買い物すら夫がするという中で、
自分たちの手に入る限られた材料、
すなわち使い古しの衣服等の白布を幾重にも重ね、
そこに赤や青の糸で自由な文様を描き、
たいへん美しい布を作り出しました。
お祝い事などの際に、子供に持たせたり
儀式などの際に使われたそうです。

作り手の女性達は、ほとんど外出できなかったため、
ほとんど母娘間での伝承のみで作製されたと考えられています。

一定の形式に則っている以外にルールはなく、
外出ができなかったにもかかわらず思いのほか様々な図様があり、
それぞれが自由奔放で、
「原始的な創造性」とでもいうものの存在すら感じさせます。

お尋ねすれば、展示室にいた館の女性が
解説代わりに色々説明して下さいます。
なにか疑問等があればお声がけされるといいと思います。

なお、展示されているカンタは
岩立広子さんという女性の方が収集されたものだそうです。

岩立フォークテキスタイルミュージアム
http://iwatate-hiroko.com/



***


今回、民藝館に行ってみて、ひとつ発見がありました。

常設されていると思しき陶器や漆器を見ていて、
普段、美術館で見慣れている工芸品との質の差に
ハッキリと気づいたのです。

私がいつも見ているものは、
将軍やら大名、貴族ら、上流階級の人々が
その財をつぎ込んで作らせたもので、
自分たちのセンスや権威というものを
顕すためのものでもありました。

しかし、ここにあるのは、庶民の美。
庶民でも少しお金のある人が、
あるいは貧しくてもハレの日のために、
手に入れたものです。

染付けの素地は少しくすんでおり、
絵付けも素早く粗い。
磁器でも厚っぼたく、
はじけば鈍い音がするかもしれない。

美術館では見かけないような産地も多く見かけました。
益子、丹波、小鹿田、小代…。

漆器も当然、金銀を散らした蒔絵などはありません。
塗りが厚くつやはなく、絵柄は素朴で、
しかもだいぶすり減ってもいます。

飾られていた絵画は「大津絵」。
「大津絵」は、元禄年間から流行った
民間信仰や伝説などを描いた絵画ということですが、
金箔を敷いた色絵の屏風や緻密な花鳥画は論外だとしても、
同じ庶民文化の範疇にあるはずの浮世絵の高度さとは
まったく違うのどかな趣。

洗練とはほど遠いのんびりとしたものばかり。
今日からお台所で使えそうな感じです。


…でも、勘違いしてはならないのは、
ここに集められた「民藝」品は、
単なる郷土色の強い日用雑器ではないのです。


それまで顧みられなかった雑器の中に美を見出すという
柳宗悦らの新しい美の基準の集積です。

日用品のすべてが美しいわけではなく、
柳宗悦という人が「美しい」と感じた日用品なのです。

「普段使われるもの」の中に見いだされる美、
すなわち「用の美」とはこのようなものか
とはじめて知ることができました。


最近、三井記念美術館、根津美術館等にいって、
「名物」といわれるような器をいくつも見ていたので、
特に民藝館の器との違いを感じ取ることができたのでしょう。

おなじ「うつわ」でも茶陶から民藝まで。
「美の幅」というのを思い知らされる経験でした。


***


独特の理念に基づいて作品が収集・展示された
面白い美術館です。

ぜひ足をお運びください。


日本民藝館
京王井の頭線〈駒場東大前〉西口下車 徒歩7分
小田急線〈東北沢〉南口下車 徒歩15分
千代田線〈代々木上原〉 徒歩20分
毎週月曜日休館
10:00~17:00(入館16:30まで)
一般 1100円
http://www.mingeikan.or.jp/

特別展〈カンタと刺子ーベンガル地方と東北地方の針仕事〉
会期:2014年9月9日〜11月24日
会場:日本民藝館


ついでに民藝についての
オシャレでわかりやすい入門書のご紹介↓


民藝の教科書① うつわ民藝の教科書① うつわ
(2012/04/05)
萩原 健太郎

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今日はこれぐらいで。
それではまた。
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