FC2ブログ
2018/09
≪08  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30   10≫
プロフィール

如月東子

Author:如月東子
C’est l’enfance de l’art.へようこそ。
(セ・ランファンス・ドゥ・ラール)

昔から絵を見るのが好きで、美術系の大学に行き「美術史」などを少し勉強しました。

その後、美術とは関係ないお仕事についたけど、美術について、普通の人よりはちょっぴりだけ多く考えてきました(多分)。

そんな私が、これまで美術鑑賞をするなかで気づいたこと・感じたこと・考えてきたことの中には、美術をもっと楽しみたいと思ってる人に、なにかヒントになることがあるかもしれません。

美術鑑賞の記録を中心に、美術館などの紹介や鑑賞の役に立つ情報などを載せていければ、と思います。

皆さんのお役に立てれば幸いです☆

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


 
東京都美術館〈ウフィツィ美術館展〉によせて〜その1〜

こんにちは如月東子です。

東京都美術館で開催中の〈ウフィツィ美術館〉の
みどころや気づいた点、面白いと思ったことなどを
何回か書いていきたいと思います。


今日は、15世紀後半の作品にみられる
ネーデルラント絵画からの影響について。
また、それに関連し、
思った以上に「金」の使用が
多く見られた点について書きたいと思います。


**


15世紀のフィレンツェ絵画は、
ネーデルラント絵画から強い影響を受けているといわれています。

ネーデルラントは現在のベルギー・オランダのあたりで、
ブルゴーニュ公国という国があり、
当時の最先端の宮廷文化が花開いていました。
ヤン・ファン・エイクは、この宮廷で活躍した画家です。

フィレンツェの貴族や大商人たちは、
この地域の絵画やタペストリーを非常に高く評価して、
たくさん輸入していたそうです。

多くのフィレンツェの画家は、
その最新流行の手法を
かなり積極的に真似しようと努めました。


例えば、今回展示されているペルジーノ工房に帰属される
《悲しみの聖母》などは、
もろにネーデルラントのお手本をコピーしたものです。

カタログによると、本作は、
ネーデルラントの画家ハンス・メムリンクの
お手本に基づいて制作されたものだそうです。

メムリンクの描いた《悲しみの聖母》のオリジナルは
すでに失われてしまっているようなのですが、
この作品と対になっていたと考えられる
《悲しみの人》というキリストを描いた作品と
そのコピーが現存しているようです。

メムリンクの《悲しみの人》は、
ジェノヴァのガレリア・ディ・パラッツォ・ビアンコに、
フィラデルフィア美術館にイタリア人によるコピーが
残されているとのこと。


ジェノヴァ《悲しみの人》
http://www.wga.hu/html_m/m/memling/3mature2/22sorrow.html
フィラデルフィア《悲しみの人》
http://www.philamuseum.org/collections/permanent/101837.html
ウフィツィ《悲しみの聖母》
http://www.wga.hu/html_m/m/memling/3mature2/23nomate.html


この3つの画像をパソコンにダウンロードして、
パソコン画面上で横に並べて見てください。

メムリンク作品の肉体表現の繊細さと
フィラデルフィア作品の彫刻的肉体表現を見比べた後に、
今回の展覧会に来ている《悲しみの聖母》を見てみると、
ウフィツィ作品が、
どれだけメムリンク絵画の繊細な表現を真似し得ているかが
わかるように思います。


**


ところで、
フィレンツェの画家がネーデルラントから取り入れたのは、
構図や人物のポーズ、繊細な人体描写だけでなく、
衣類の質感、金属や宝石のキラッとした輝き、
ガラスの透明さの表現などの写実主義的表現も含まれます。

「金」色に関して言えば、
それまでのイタリアの絵画では、
画面上の「金」の部分には金箔などを使っていたのですが、
ネーデルラント絵画の表現技法を取り入れることで、
絵具で「金色」を表現することが可能になりました。


以上のような知識があったため、
私は、「15世紀も終わりになれば、フィレンツェの画家も
ほとんどが金の使用をやめていたのではないか」
となんとなく思っていたのですが、
今回来ている作品の中には、
金泥の絵具や金箔を使っているものがたくさんありました。


今回の展覧会の注目作の一つ
ドメニコ・ギルランダイオの
《聖ヤコブス、聖ステファヌス、聖ペテロ》には、
三次元空間上に、十分なボリュームをもった人物像が描かれています。
http://www.tobikan.jp/exhibition/h26_uffizi.html
(4つ並んだ絵画の一番左)

その人物像は、
ネーデルラント絵画を思わせる深い色合いと、
質感表現に満ちたみごとな衣装表現を伴っている点で、
15世紀前半までのフィレンツェ絵画とまるで違うように思います。
背景の多色大理石の質感、繊細な顔面の描写なども見事なものです。

しかし、一方で、
画面全体のいたるところで「金泥」が使われているのに気づきます。

色材としての「金」は、
それ自体が光をピカッと反射してしまうため、
三次元表現のなかでは
金を使った部分だけ平面的に見えてしまうという危険がありますが、
本作では、金の使用は画面全体の統一感をまるで損なっておらず、
むしろ画面の豪華を増すのに役立っています。

写実性と超現実性の見事なバランスのとれた作品です。


その他にも展覧会第1章の作品には、
ほとんど金が使われていました。

「金」の使用というのは、
単なる装飾のためではなく、
「超現実的なもの」を表現する手段でしたので、
祈りの対象になる絵画に対しては、
かなり長い間、金を使った表現が続いていた、
ということなのでしょうか・・・?

以上、ちょっと面白いな、と思った点でした。

それではまた。


〈ウフィツィ美術館展〉
会期:2014年10月11日ー12月14日
会場:東京都美術館 企画展示室
http://www.uffizi2014.com/





スポンサーサイト


 
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。