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プロフィール

如月東子

Author:如月東子
C’est l’enfance de l’art.へようこそ。
(セ・ランファンス・ドゥ・ラール)

昔から絵を見るのが好きで、美術系の大学に行き「美術史」などを少し勉強しました。

その後、美術とは関係ないお仕事についたけど、美術について、普通の人よりはちょっぴりだけ多く考えてきました(多分)。

そんな私が、これまで美術鑑賞をするなかで気づいたこと・感じたこと・考えてきたことの中には、美術をもっと楽しみたいと思ってる人に、なにかヒントになることがあるかもしれません。

美術鑑賞の記録を中心に、美術館などの紹介や鑑賞の役に立つ情報などを載せていければ、と思います。

皆さんのお役に立てれば幸いです☆

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東京都美術館〈ウフィツィ美術館展〉によせて〜その2〜

こんにちは如月東子です。

あと数日で会期終了となってしまいますが、
東京都美術館で開催中の〈ウフィツィ美術館〉
に関連したトピックで書いています。

今日は、小型の聖母子像について。


***


今回の展覧会には、ボッティチェリ作品がたくさんきています。
その中でも今回は、
通称《海の聖母》と呼ばれる作品に注目してみたいと思います。

ボッティチェリ《海の聖母》アカデミア美術館

Sandro Botticelli サンドロ・ボッティチェリ
Madonna of the Sea《海の聖母》
Galleria dell'Accademia, Florence



ボッティチェリの作品と書きましたが、
実際には、この作品の作者について決定的な分かっていないようです。
様式的な検討から、
現在のところボッティチェリに帰属するとされています。

制作時期としては、1475年〜80年。
1444年または45年に生まれたとされるボッティチェリであれば
30歳ぐらいのときの作品ということになります。

作品の大きさは40㎝×28㎝と小型で、
海景をを背景に、
室内に腰掛けたマリアと
その腕の中で子供らしい仕草をした幼児キリストが描かれています。
マリアは全身像ではなく、腰から上だけが描かれます。


こういった形式の、小型で
リラックスした雰囲気の聖母子像が描かれるようになったのは、
実は15世紀に入ってからです。

これ以前の聖母子像は、
威厳に満ちた堂々とした姿でしか描かれるのが通例でしたので、
このような優しく優美で、
子供との間に情愛あふれるイメージというのは、
まったく新しいものでした。


この聖母子の形式をフィレンツェで広く普及させたのは、
アンドレア・デル・ヴェロッキオ(1435年頃 ~1483年)
といわれています。

ヴェロッキオ《聖母子》ベルリン絵画館
Andrea del Verrocchio アンドレア・デル・ヴェロッキオ
Madonna and Child《聖母子》
c. 1470
Staatliche Museen, Berlin



ドメニコ・ギルランダイオ《聖母子》ルーブル
Domenico Ghirlandaio ドメニコ・ギルランダイオ
Virgin and Child 《聖母子》
c. 1475–80
Musée du Louvre



展覧会第1章で特集されていますが、
ヴェロッキオ工房は、
15世紀の第Ⅳ四半世紀に発展した大工房のひとつでした。

ヴェロッキオの工房からは、
レオナルド・ダ・ヴィンチは言うに及ばず、
ペルジーノ、ロレンツォ・クレディ、
ドメニコ・ギルランダイオ、ピエロ・ディ・コジモ
など、
その後の(フィレンツェ)芸術を担う人材が輩出されています。

ボッティチェリは、一時期(1460年代後半?)、
ヴェロッキオ工房で助手として働いていたということですので、
ボッティチェリとヴェロッキオの作風は、
互いに影響し合っていたのだろうと思います。


***


《海の聖母》をみてさらに思い出されたのが、
レオナルド・ダ・ヴィンチ
いわゆる《カーネーションの聖母》です。

レオナルド《カーネーションの聖母》ミュンヘンアルテピナコテーク
Leonardo da Vinci
MADONNA MIT DER NELKE《カーネーションの聖母》
1473
Alte Pinakothek, München


暗く深い色合いと、マリアのもつ独特の情感。
ヴェオロッキオや
その共同制作者であったギルランダイオの作品とは
一線を画するリアリティがあります。
お決まりの型に押さえ込みきれない
レオナルドの指向性が滲み出るようです。


ボッティチェリの「海の聖母」は、
どことなくレオナルド作品を彷彿とさせないでしょうか…?



幼児のどこを見ているのかわからない目つき。
背景の暗い室内と対比的に明るく遥かな光景。
つぶらな瞳の若いマリア。
(レオナルドの《受胎告知》のマリアも思い出されます。)

なによりボッティチェリのマリアは、
この時代の「聖母マリア」としての定型に収まらない、
妙に人間的な表情をしています。

ボッティチェリの前でポーズをとりながら、
見られていることを意識して澄ましたような顔をしている
の若い女の子が見えてこないでしょうか?


ボッティチェリの個性はその後、
独自の様式化された優美な女性像を生み出していきますが、
《海の聖母》は、
初期の硬い表現を抜け出つつも、
「ボッティチェリ様式」を確立する一歩手前の、
過渡的な、特異な一時期を切り取っているように見えます。
(ボッティチェリの作品であるとすれば、ですが…。)


《海の聖母》の制作年代1475〜80年という推定に対し、
《カーネーションの聖母》は1473年頃
(所蔵するミュンヘンのアルテピナコテークの記載参照)。

年代的にはレオナルド作品が先行します。

1470年代前半の作とされる
ヴェロッキオ作とされる《キリストの洗礼》は、
ヴェロッキオが構想し、
実際の作画はボッティチェリとレオナルドが担当した、
ともいわれています。


《海の聖母》を眺めつつ、周辺情報を集めていると、
もしかしてボッティチェリは、
年下のレオナルドを意識(ライバル視?)しつつも、
一時期、感化されてしまったのではないか…?
などと想像がふくらんでしまいます。


***


ちなみに、
《海の聖母》が描かれたとされる1475年〜80年の間に
レオナルドはもうひとつ聖母子像を描いています。

レオナルド《ブノワの聖母》エルミタージュ
Leonardo da Vinci
Madonna Benois 《ブノワの聖母》
1478
The Hermitage, St. Petersburg


さらに独自の道に進んでいます。


***


最後に、ヴェロッキオ工房を継いだ
レオナルドのおとうと弟子
ロレンツォ・ディ・クレディの聖母子像。

クレディ《ザクロの聖母子》ヒューストン美術館
Lorenzo di Credi ロレンツォ・ディ・クレディ
Madonna and Child with a Pomegranate《ザクロの聖母子》
1475〜1480
National Gallery of Art, Washington


全体の構図やマリアの衣装などに、
明らかに「カーネーションの聖母」の影響が感じられます。
同一工房の発展が感じられて面白いですね。


みなさんも、
絵の前で色々な想像を膨らませてみてください。

今日はこれぐらいで。
それではまた。


〈ウフィツィ美術館展〉
会期:2014年10月11日ー12月14日
会場:東京都美術館 企画展示室
http://www.uffizi2014.com/




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