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プロフィール

如月東子

Author:如月東子
C’est l’enfance de l’art.へようこそ。
(セ・ランファンス・ドゥ・ラール)

昔から絵を見るのが好きで、美術系の大学に行き「美術史」などを少し勉強しました。

その後、美術とは関係ないお仕事についたけど、美術について、普通の人よりはちょっぴりだけ多く考えてきました(多分)。

そんな私が、これまで美術鑑賞をするなかで気づいたこと・感じたこと・考えてきたことの中には、美術をもっと楽しみたいと思ってる人に、なにかヒントになることがあるかもしれません。

美術鑑賞の記録を中心に、美術館などの紹介や鑑賞の役に立つ情報などを載せていければ、と思います。

皆さんのお役に立てれば幸いです☆

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洗練されすぎてないからあたたかい〜〈天才陶工 仁阿弥道八〉

こんにちは如月東子です。

現在、サントリー美術館で開催中の展覧会
〈天才陶工 仁阿弥道八〉
についての感想です。


***


お正月の雰囲気も華やかな
新春のTokyo Midtown
サントリー美術館は、
ガレリアという建物の3階にある
小奇麗な美術館です。


今回の展覧会の主人公
仁阿弥道八(にんなみどうはち 1783 - 1855)は、
京都で活躍した焼物師。

本展覧会は、彼の作品を中心に、
その父、初代高橋道八から、
仁阿弥道八の息子である三代高橋道八
さらには現当主の九代目高橋道八の作品までを
概観するものとなっています。

仁阿弥道八個人に焦点をあてた展覧会は、
これまでほとんどなかったらしく、
これだけの作品をまとめて見られる機会は、
とても珍しいことだそうです。


***


高橋道八家は、「京焼」の陶工です。

京焼」というのは、
桃山から江戸時代にかけて
京都で焼かれた陶磁器を総称する言い方のようです。
(ただし、楽焼は除かれます。)

江戸時代初期に、野々村仁清が完成させた手法を典型とし、
整った器形と上絵付けを特徴とします。
「上絵付け」、というのは、
高温で焼いた磁器の上に、
上絵釉で文様を描いてから
今度は低温で焼いて発色させるという技法で、
鮮やかで、自由な彩色ができます。

仁阿弥道八が活躍した江戸時代の末期は、
京焼第二の黄金期と言われる時代で、
奥田穎川、青木木米、永楽保全らの名工が生まれました。
仁阿弥道八は奥田穎川の弟子に当たります。


京焼というと、
昨年訪れた新生京都国立博物館
常設展示の冒頭で、
奥田穎川ら名工たちの作品が
たくさん並んでいたことを思い出します。

そこで、ひとつ注目されていた点が、
京焼の名工たちの「写し」の技術の高さ
ということだったと思います。


京都国立博物館〈京へのいざない〉
PDFで出品リストが見られます。
http://www.kyohaku.go.jp/jp/project/miyako.html
過去ログ
「鳥獣戯画だけじゃない! ー京博〈国宝鳥獣戯画と高山寺〉ほか」
http://kisaraghitouko.blog.fc2.com/blog-entry-14.html



サントリー美術館の今回の展覧会も、
仁阿弥道八の「写し」の技量というところに
大きな力点があるようで、
たくさんの作品を見ることができます。

《利休七種写茶碗》をはじめとする楽焼
仁清風の鮮やかな鉢、
そして、茶人に愛された中国・朝鮮半島の茶器の様式
——祥瑞、珠光青磁、青磁象嵌、斗々屋茶碗、三島茶碗
…などなど。
デルフト焼を参考にしている作品までありました!

様々な焼物の特徴を見事に再現した、
しかし、それ自体で十分見応えのある作品が並んでいます。

《七種盃》という、
色々な産地の茶碗をすっごく小さくしたセット
(煎茶茶碗の大きさにしたらしい?)には、
技量ともに遊び心が感じられます。


いくつかの作品については、
手本となった作品と並べてあり、
じかに比べることもできるようになっていますので、
そこは特にじっくり見てみてください。

「写し」といってもそっくりそのまま写すわけではなく、
どこか個性を感じられるもの。
手本と並べてみると、
道八の作品は少しおおらかな感じがします。


***


展覧会の構成は下記のとおりです。

一、仁阿弥の父、初代高橋道八
二、仁阿弥の茶道具と「写し」の技量
三、仁阿弥の煎茶道具
四、仁阿弥の鉢 懐石の華
五、彫塑的作品 置物・手焙・炉蓋
六、御庭焼の指導者として
七、新しい時代へ



展覧会のキャッチフレーズには、
のびのびと、まじめに」とありますが、
今回の出品作は、全体として
かなり形の整ったものが多かったように思います。

「写し」をみて思いますが、
でもやっぱり、
仁阿弥道八作品には
几帳面すぎない、少しとぼけたような趣があるように思います。

昨年、テレビでたまたま、
「開運!なんでも鑑定団」を見ていたら、
仁阿弥道八の煎茶の急須のセットが
かなり良い状態で発見されていたようでした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kantei/kaiun_db/otakara/20141111/03.html

今回は出品されていないようですが、
新発見の作品は、かなり自由な造形に思えました。
おそらく彼の作品群には、
もっともっと「のびのび」としたものが
たくさんあるんだろうなあ、と想像します。
(制作時期にもよるかもしれません。)

「写し」以外でも、
仁阿弥道八が活躍した当時、
文人(本職とは関係なく学問を修め、詩文をよくする人たち)
の間で煎茶が流行ったという話や、
全国の藩によばれて焼物の指導をしたという話など(御庭焼)、
面白い切り口が色々あり、
当時の京都の文化も含め、
もっと深く知りたいと思える展覧会でした。


私が訪れたときは、
お正月休みの最中ということもあってか、
それほどお客さんは多くはありませんでした。

のんびりとおおらかな作品を堪能できると思います。


ぜひ足をお運びください。


〈天才陶工 仁阿弥道八〉
サントリー美術館
2014年12月20日−2015年3月1日
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2014_6/?fromid=topmv


ピーター・バラカンさんがパーソナリティをつとめる
Podcastで、本展覧会を担当した学芸員さんのお話が聴けます。
こちらもぜひ!
安河内幸絵さん_Tokyo Midtown presents The Lifestyle MUSEUM_vol.349
2015年01月02日 ON AIR

http://www.tfm.co.jp/podcasts/museum/


今日はこれぐらいで。
それではまた。



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