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プロフィール

如月東子

Author:如月東子
C’est l’enfance de l’art.へようこそ。
(セ・ランファンス・ドゥ・ラール)

昔から絵を見るのが好きで、美術系の大学に行き「美術史」などを少し勉強しました。

その後、美術とは関係ないお仕事についたけど、美術について、普通の人よりはちょっぴりだけ多く考えてきました(多分)。

そんな私が、これまで美術鑑賞をするなかで気づいたこと・感じたこと・考えてきたことの中には、美術をもっと楽しみたいと思ってる人に、なにかヒントになることがあるかもしれません。

美術鑑賞の記録を中心に、美術館などの紹介や鑑賞の役に立つ情報などを載せていければ、と思います。

皆さんのお役に立てれば幸いです☆

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「雪景色らしさ」はどこにある?!〜〈雪景色の系譜〉展

こんにちは如月東子です。

今日は、西宮市大谷記念美術館で開催中の
〈雪景色の系譜〉展の感想です。


***


芦屋市立美術博物館から徒歩約30分。
住宅街を歩いていると、
隣町とはいえ、
街の風景が少しずつ変わっていくのがわかります。

大谷記念美術館は、
駅でいうと、阪神線の「香櫨園」が最寄りです。
帰りはそちら側から帰りましたが、
歩いて10分もあればいけると思います。


***


現在の展覧会は、〈雪景色の系譜〉展

大谷記念美術館展覧会看板


副題にその表現の歩み 近世から近代まで」とありますが、
古くは室町時代から、
新しいところでは大正時代までの、
日本絵画における「雪」の表現に
焦点をあてた展覧会です。


美術館入口は行ってすぐ、
緑色の石が敷き詰められた池が印象的な
御庭が見えます。
大谷記念美術館庭



展覧会の構成は下記のとおりです。

第一章 山水画にみる雪
第二章 花鳥画にみる雪
第三章 四季絵その他にみる雪
第四章 近代日本画の雪



山水画の数が多く、大半は水墨画で、
ほとんどは江戸時代の作品です。

江戸期内では、時期はまんべんなく、
かなり多くの画家の作品が見ることができます。
ちょっと見は似通っているようですが、
様々な流派の作品が概観できるようになっています。

全ての作品に解説があり、
その全部に画家の略歴が載っているのが親切です。


さて、作品を見ていると、
「雪中」や「雪景色」とタイトルに書いてあっても、
冬ということはわかるのですが、
「これは雪景色なのかな?」と思うような作品もあります。

なぜそういう風になるのか考えてみたのですが、
それはこういうことではないでしょうか。

水墨画では、「雪」は基本的に、
紙の白さを塗り残すことによって表現されています。

雪の部分を塗り残すためには、
その周りに、薄い墨の面を作る必要がありますが、
その面が断片的だと空間の一体感がとぎれ、
山水画としての広がりや奥行きが感じにくくなります。

また、雪の「白さ」を強調するためには、
対比として、かなり墨の濃い部分が必要になります。
雪景色としてちょっと物足りないな、と思う作品では、
墨の階調の種類が少なく、
雪の白さが際立たない場合が多いような気がします。
階調の差が少ないため、
「雪」を表現するための塗り残しなのか、
はたまた別のものの表現なのか不明瞭な場合が多いです。

また、風景を構成するパーツが多いと、
雪景色らしさの表現が難しくなるようです。


丸山応挙伊藤若冲などの作品は、
構図がシンプルなこともあり、
さすがにぱっとみて雪景色らしいと感じられ、
雪の曲線的なやわらかさとともに、
しんとした寒さが伝わってくるようでした。


***


私が今回一番注目したのは、
《山水図》と題された狩野探幽の対幅の掛け軸です。

画像が見つけられなかったので言葉で説明しますが、
向かって右の幅に夏景(だと思う)、
向かって左に冬の景色が描かれています。

それぞれ別の場所ですが、
どちらも遠山をのぞむ山峡で、
真ん中には大きめの川が流れています。
前景には数本の松の木、
川辺に少し大きめの住宅のような小屋が建っており、
夏景ではその中には人もいます。
川面には小舟が浮かんで、アクセントを作っています。

二つの景色を比べてみると、
それぞれの空気感の違いがはっきりと伝わってきます。

夏の景色は、松に緑を少し使い、
遠い山は、霧にぼんやり浮かんでいます。
初夏のさわやかな感じもしますが、
水蒸気が多く、やわらかな空気感です。

一方の冬景。
あたりは一面雪に覆われています。
応挙などは、雪は輪郭をとらずに描いたようですが、
探幽は、(紙地の白は生かしているものの)
一部を除き、雪の輪郭をくっきり取って描いています。

夏の光景に比べて線が直線的で細く、
きりっとした寒い空気が
みごとに表現されていました。

探幽の線描のすごさを感じました。


***


「花鳥画」セクションでは、風景全体ではなく、
花や鳥をピックアップして描いたものが見られます。
南蘋派(なんぴんは)の
鮮やかで細密な花鳥描写が楽しめますし、
水墨花鳥画の見事な筆さばきも見ものです。


近代絵画(明治〜)になると、
描写の正確さや遠近感、そして情感が増すようで、
冬の荒涼とした寂しさがひときわ身にしみます。

滋賀県立近代美術館蔵の
岸竹堂(きしちくどう)《四季之月図 冬》などが
印象に残りました。


***


絵画観賞後は御庭を拝見。
広くはありませんが、
変わった色の大きい石がたくさん配置されていて
変化に富んでいます。

私の好きな水琴窟もありました!
水琴窟


***


暖かい室内で、
色々な雪景色に遊んでみてはいかがでしょうか。

バランスのよい展覧会だと思います。
ぜひ足をお運びください。


〈雪景色の系譜〉展
会期:2015年1月2日~2月8日
会場:西宮市大谷記念美術館
http://otanimuseum.jp/home/exhi/yuki15/yuki15.html


今日はこれぐらいで。
それではまた。


芦屋市立美術博物館についての記事はこちら↓
ココこんなとこ〜芦屋市立美術博物館・谷崎潤一郎記念館
http://kisaraghitouko.blog.fc2.com/blog-date-20150116.html



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