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プロフィール

如月東子

Author:如月東子
C’est l’enfance de l’art.へようこそ。
(セ・ランファンス・ドゥ・ラール)

昔から絵を見るのが好きで、美術系の大学に行き「美術史」などを少し勉強しました。

その後、美術とは関係ないお仕事についたけど、美術について、普通の人よりはちょっぴりだけ多く考えてきました(多分)。

そんな私が、これまで美術鑑賞をするなかで気づいたこと・感じたこと・考えてきたことの中には、美術をもっと楽しみたいと思ってる人に、なにかヒントになることがあるかもしれません。

美術鑑賞の記録を中心に、美術館などの紹介や鑑賞の役に立つ情報などを載せていければ、と思います。

皆さんのお役に立てれば幸いです☆

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記憶を直接触る柔らかい指先ー国際美術館〈フィオナ・タン〉展

こんにちは如月東子です。

現在、国立国際美術館で開催中の
〈フィオナ・タン まなざしの詩学〉
の感想です。


***

フィオナ・タン(Fiona Tan)は、
1966年生まれの映像作家。

彼女は、華僑のインドネシア人である父と、
オーストラリア人の母の元に生まれます。
インドネシア生まれながら、オーストリアで育ち、
若くしてヨーロッパに渡るなど、
複雑なアイデンティティをもった女性です。

今回の展覧会では、
2分弱の作品から
60分ほどのちょっとした映画のような作品まで、
初期作品から最近までの
10余りの映像作品が集められています。


初期作品《興味深い時代を生きますように》(1997)は、
彼女のアイデンティティ探求の旅を追ったドキュメンタリーフィルム。

彼女の自分探しの旅によって、
激動のインドネシアの近代史と
世界に散らばる華僑との関係や、
入り交じりつつも溶解し得ない
東洋と西洋の価値観があぶり出されていきます。


私が好きだったのは、
《ライズ・アンド・フォール》(2009)
《ディスオリエント》(2009)


《ライズ・アンド・フォール》は、
並んだ縦長の2つのスクリーンに、
ナイアガラの豊かな水流と
2人の女性の日常の姿が、
断片的に映し出される作品です。

2つの画面は、
時に、異なる別々の光景を、
時に、ひとつの画面となって
滔々と流れる巨大な水面を映し出します。


書き物をする若い女性の姿が
2重に映されているかと思うと、
片一方の画面が、水の流れに変わる。

彼女は河にまつわる小説を書いているのか?


老女がベッドに横たわっていて、
目が覚める直前である。

うねり落ちていく瀑布は、彼女の夢なのか?


風景が重なると、
2人の全く関係ないかもしれない女性達に
繋がりが生まれる。

若い女性は、かつての老女の姿なのか?


現実も夢も等価だ。
追想が現実のように強く感じられ、
現実はときに夢のように現実感がない。


記憶のどこかに覚えのある、
懐かしい夢のような作品です。


+++


《ディスオリエント》も大画面を2つ使った作品。
ただ、2つの映像は、
部屋の対面する壁それぞれに映し出されています。

アジアの各国
——中近東から東アジアまでの映像が
断片的に流れているようです。

部屋では、マルコ・ポーロの『東方見聞録』が、
男性の声で、淡々と朗読される録音が流れています。
しばらくすると、
見ている映像が、
文章の中の地名とゆるやかに関連づいていることに気づきます。

マルコ・ポーロの冷静な観察。
大きく変化しながらも、
どこか、かつての旅人が観たものを彷彿とさせる風景。

フィオナ・タンのカメラは、
バグダッドで、
戦車の上からあたりを見下ろすことすらあります。

地理的な広がりと現代性と多様性、
複雑な時間軸を感じさせる作品です。


***


作品数は多くはありませんが、
ほとんど全てビデオ作品ですので、
全体を鑑賞するには
ある程度まとまった時間が必要です。
(最低でも2〜3時間は必要かなと…。)

暗いので、
長時間いると少し疲れてしまうかもしれません。

途中で一度展覧会を抜けて、
息抜きをしてから、もう一度戻るといいかもしれません。
(係の方に断ってからでないと戻れないですので、
ご注意ください)


現在を生きる作家が、挑戦する映像の世界。
アーティストの興味と探求は、刻一刻と変化しています。
同時代に生きる人間として、
今、この時に感じられるなにかがあると思います。

ぜひ足をお運びください。



〈フィオナ・タン まなざしの詩学〉
会期:2014年12月20日〜2015年3月22日
会場:国立国際美術館
http://www.nmao.go.jp/exhibition/



今日はこれぐらいで。
それではまた。



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