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プロフィール

如月東子

Author:如月東子
C’est l’enfance de l’art.へようこそ。
(セ・ランファンス・ドゥ・ラール)

昔から絵を見るのが好きで、美術系の大学に行き「美術史」などを少し勉強しました。

その後、美術とは関係ないお仕事についたけど、美術について、普通の人よりはちょっぴりだけ多く考えてきました(多分)。

そんな私が、これまで美術鑑賞をするなかで気づいたこと・感じたこと・考えてきたことの中には、美術をもっと楽しみたいと思ってる人に、なにかヒントになることがあるかもしれません。

美術鑑賞の記録を中心に、美術館などの紹介や鑑賞の役に立つ情報などを載せていければ、と思います。

皆さんのお役に立てれば幸いです☆

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クエスト!同年制作をさがせ〜チューリヒ美術館展

こんにちは如月東子です。

現在、神戸市立博物館で開催中の
〈チューリヒ美術館展〉の感想です。

昨年、国立新美術館で開催されていた展覧会の
巡回展です。

チューリッヒ美術館2


***


昨年は、
日本・スイス国交樹立150周年記念ということで
スイスの画家がたくさん紹介されました。

バルテュス、フェリックス・ヴァロットン、
フェルディナント・ホドラーなど。
そして神戸でチューリヒ美術館の豊富な所蔵品を
紹介する今回の展覧会。

チューリヒ美術館は、
1787年からの歴史を誇る美術館で、
13世紀から今日までのヨーロッパ絵画を所蔵しています。

今回は、そのコレクションの中から、
モネ作品を筆頭とする印象派絵画、
ポスト印象派、ナビ派、表現主義、
さらには、フォーヴィズム、キュビズム、抽象など、
第二次世界大戦後までの
選りすぐりの作品が70点ほど展示されています。

制作年代では、
1885年から1968年までおよそ百年。
西洋絵画の近代史を概観できる内容です。

「すべてが代表作」
と謳われるだけあって、
それぞれの作品に見応えがありますが、
逆に言うと、
こういう名品を集めた展覧会は、
テーマ性が薄くなり、
見たあとの印象が散漫になりがちです。

そこで、
それぞれの作品を楽しみつつ、
時系列を探してみるのはいかがでしょうか?



***


今回の展覧会の構成は下記のとおりです。
 *セガンティーニ
 *ホドラー
 *モネ
 *ポスト印象派
 *ナビ派
 *ムンク
 *表現主義
 *ココシュカ
 *フォーヴィズムとキュビズム
 *シャガール
 *抽象絵画
 *ジャコメッティ
 *クレー
 *シュルレアリスム

見てわかるとおり、
一人の画家に焦点を当てたセクションと、
様式的な区分で分けたセクションが、
ゆるい時系列で並んでいる、という構成です。


さてでは、
いくつかの作品を対比してみてみましょう。


++

モネが45歳で
《ノルマンディーの藁葺きの家》(1885)を描いた3年後、
35歳のゴッホ《サント=マリーの白い小屋》(1888)
を描きました。

モネノルマンディーの藁葺きの家 ゴッホサントマリーの白い小屋
モネ                ゴッホ

モネの超絶な巧さを知ってはいても、
この2作品を間近に並べてみると、
ゴッホ作品の色彩の対比の強さや抜け感が
格別なものに感じられるように思います。


++

モネ睡蓮の池1916
モネ《睡蓮の池、夕暮れ》

本展の目玉である
モネ《睡蓮の池、夕暮れ》(1916/22)
制作時期と同時期に描かれた作品をみてみると、
ヨハネス・イッテン《出会い》(1916)

ヴァロットン《日没、ヴィレルヴィル》(1917)
カンディンスキー《黒い斑点》(1921)など。

イッテン出会い  カンディンスキー黒い色斑
イッテン             カンディンスキー

モネの作品はほとんど抽象のようですが、
イッテン、カンディンスキーなどの抽象絵画と
並べて考えるとどうでしょう?

また同じ日没でも、
ヴァロットンのものと比べてみるとどんな感じですか?

モネ睡蓮の池1916
モネ《睡蓮の池、夕暮れ》

ヴォロットン日没
ヴァロットン《日没、ヴィレルヴィル》


++

上記のイッテンの作品は、
フェルナン・レジェ《機械的要素》(1924)
ピート・モンドリアン
《赤、青、黄のあるコンポジション》(1930)などと
並んで展示されています。

フェルナン・レジェ機械的要素
レジェ《機械的要素》

それぞれ時代は違いますが、
構図や発想ではなく、
「画家の技術力」という視点でみたとき、
レジェやモンドリアンの描画の巧さが際立ちます。

無機的な感じのするレジェ、モンドリアン作品ですが、
これがCGではなく、
筆で描かれていると思ってじっくりと見ると、
「モノ」としての存在感が感じられて
ますます面白いものです。


++

「フォーヴィズムとキュビズム」のセクションで、
マティス《マルゴ》(1906)と並べてみたい
と思ったのは、
本展では出品ピカソ《アビニョンの女達》(1907 MoMA所蔵)

マルゴ
マティス《マルゴ》

《マルゴ》は、
「fauve(フォーヴ)=野獣のように荒々しい」
という印象の作品ではありませんが、
粗い筆致で描かれた少女のオレンジ色の顔と、
原色に近い緑と青の衣装の鮮烈なさわやかさの対比が強く、
マティスの色彩効果への関心がうかがえる作品です。

一方、
キュビスムの嚆矢ともいわれる《アヴィニョンの女達》では、
女性の形態は分断されていますが、
筆致は滑らかで、色合いはマイルドです。
画像は下記↓
http://www.moma.org/collection/object.php?object_id=79766

それぞれの関心の違いが際立ちます。


年代や時系列を意識して比べてみると、
ひとつひとつの作品を順番に見ていくだけでは気づかない
面白い発見があるかもしれません。


***


その他、私が心を惹かれた一品は、
アルベルト・ジャコメッティの親類でもある
アウグスト・ジャコメッティ
装飾的な抽象的絵画作品
《色彩のファンタジー》(1914)

アウグスト・ジャコメッティ色彩のファンタジー

土から萌え出る植物のような
不思議な生命力のある作品です。

写真ではわかりませんが、金が使われていて、
少し工芸的なところもあります。

あまり日本では紹介されない作家のような気がするので、
この機会にぜひご覧頂きたいと思います。


***


ビッグネームのしかも質の高い作品ばかり。
この機会に、
お好きな一品を探しにいってはいかがでしょう。


現在兵庫県立美術館で回顧展が行われている
フェルディナント・ホドラーの作品も6点展示されていますので、
今回、ぜひ合わせて見ておきたいものです。

〈ホドラー展〉訪問の際の感想は以下↓
「「お能」で読み解くホドラー?〜〈フェルディナント・ホドラー〉展」



〈チューリヒ美術館展〉
会期:2015年1月31日〜5月10日
会場:神戸市立博物館
http://zurich2014-15.jp/


今日はこれぐらいで。
それではまた。




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