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プロフィール

如月東子

Author:如月東子
C’est l’enfance de l’art.へようこそ。
(セ・ランファンス・ドゥ・ラール)

昔から絵を見るのが好きで、美術系の大学に行き「美術史」などを少し勉強しました。

その後、美術とは関係ないお仕事についたけど、美術について、普通の人よりはちょっぴりだけ多く考えてきました(多分)。

そんな私が、これまで美術鑑賞をするなかで気づいたこと・感じたこと・考えてきたことの中には、美術をもっと楽しみたいと思ってる人に、なにかヒントになることがあるかもしれません。

美術鑑賞の記録を中心に、美術館などの紹介や鑑賞の役に立つ情報などを載せていければ、と思います。

皆さんのお役に立てれば幸いです☆

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旧イタリア大使館別荘@日光(その1)

こんにちは如月東子です。


今回は、栃木県の日光市、
中禅寺湖畔に佇む旧イタリア大使館別荘訪問記。

その建築家アントニン・レーモンドについても
少し調べてみました。


【東京から日光へ(電車)】

私が訪れたのは9月の第1週目。

その次の週には、栃木県や茨城県に大雨が降りました。
日光市も大変な被害を受けたようですが、
その後、復旧は進んでいるでしょうか・・・?


さて、出発当日の朝の11時、
青春18切符を片手に東京都内を出発。
鈍行を乗り継いで、
午後の2時過ぎにJR日光駅に到着。
(ちなみに、青春18切符で行くよりも
東武線の方が運賃は安いようです。)


ホテルに荷物を預けて、東照宮へ。
多分、小学生以来です。

二荒山神社の境内ざっと見て、
東照宮の中へ足を踏み入れました。


当時は気がつきませんでしたが、
五千余りあるという建築彫刻のみごとさは、
やはり並のものではありません。

教養がなくてわかりませんが、
それぞれの彫像に故事や物語的背景があり、
象徴的意味に満ちあふれています。

東照宮内宮


江戸時代になると仏像彫刻は魅力が薄れるような気がしますが、
建築に付随する彫刻の凄さは増すような気がしますね。
(例えば、「波の伊八」など。)

東照宮内は、ゆっくり見て回って、1時間半くらい。
輪王寺や東照宮宝物館などは、残念ながら今回は見送りました。



【日光駅〜中禅寺湖畔(バス)→徒歩】

さて翌日、
東武日光駅前を8時半頃に出発するバスに乗り、
中禅寺湖へ向かいました。

いろは坂を揺られて、40〜50分ほどで、
「中禅寺温泉」という停留所終点に着きます。


2〜3分歩くと中禅寺湖。

中禅寺湖


男体山に至るのであろう二荒山神社の大鳥居をあとに、
湖に沿って2㎞強ほどのところに、
お目当てのイタリア大使館別荘はあります。


7〜8月の間は「半月山行」というバスが出ていて、
別荘前までバスがつれて行ってくれるようなのですが、
9月以降は運休。
車がなければ、歩いて行くほかはありません。
また、車で行けるのも、途中までです。
道は舗装されていて歩きにくいことはありませんが、
歩くのが苦手な方は、すこし大変かもしれません。

幸いよく晴れた日でしたが、湖から吹き付ける風は冷たく、
手持ちの上着を着込んで風をしのぎつつ、
ほとんどひとっこ一人いない道をひたすら歩きました。


「愛染かつら」で有名な中禅寺の佇む歌が浜から、
「イタリア大使館記念公園」のエリアに入ります。
車道の横に、遊歩道的な道が出来ています。

イタリア大使館別荘記念公園遊歩道


右手に打ち寄せる波の音を聞きながら、
さらにずんずん歩いて行くと、道は林の中に。

ふと目の前を見ると、鹿が4頭ほど草を食んでいます。
野生の鹿でしょうか?
立派な角が生えていました。

鹿


小さな橋を渡ると、
右手に一群の建物がみえてきます。

それが旧イタリア大使館別荘本邸副邸です。


副邸は現在、国際避暑地だった日光についての資料館になっています。

副邸2


本邸は少し下がったところにあります。

本邸入口へ


建物内にはすぐには入らず、本邸の脇を通り、
その大きな煙突を眺めながら、湖の方に出て建物を眺めました。

本邸脇

デッキ


穏やかな形の山に囲まれた
澄んだコバルトブルーの穏やかな湖面、
白い砂利の浜。

湖2

湖 


そのほとりに石垣を積んで一段高く、
小さな木造2階建ての建物が建っています。

本邸前面

非常にシンプルな形の建物です。

でも、壁面には、
独特の格子状の模様が浮かび上がっています。
外側も内側もすべて杉皮に覆われている、
これがこの建物の大きな特徴なのです。

全面


【大使館別荘のなかみ】

しばらく外観を眺めた後、館の中に入ります。
入館は無料です。
ただ、保存のために、
任意の額(100円程度)の寄付をお願いされます。


一階入ってすぐは、応接の間。
イタリア生地のソファーがゆったりと置かれています。

応接


応接を真ん中に、明確な仕切りもなく、
右手に公務スペースの書斎、
左手に食堂があるのが面白い設計。

食堂

書斎


実は一階は、ほぼワンスペースでできています。

本邸のプラン


両端には、石造りの大きな暖炉がついていて、
威厳がありますが、
それ以外は非常に軽やかで自由度の高い空間。

この横長の長方形のスペースが、
全面ガラス窓になった広縁(広い縁側)につながり、
目の前の中禅寺湖の光景をそのまま部屋の中に取り込みます。

奥行きの狭い建物であり、しかも天井も低いですが、
部屋ごとの仕切りがない上に、窓が多くて明るい
心地よい空間です。

非常にシンプルな構造ですが、
単調にならないのは、
壁や天井にはふんだんに使われた杉皮のせいでしょう。

市松張り、網代張り、矢羽張りなど、
杉皮のさまざまな編み方がみられます。
縦半分に割られた竹が、アクセントになります。

書斎天井 食堂天井a

応接天井

このひとつの素材によって生み出される多様な模様によって、
本来なら平板な空間のはずですが、
変化にとんだ、リズミカルな印象を与えます。

大きく3つに分かれたスペースごとに
壁や天井の模様が変化するので、
全体としてはオープンな一つのスペースでありながら、
立つ場所によって異なった空間感が醸し出されています。


アンチーム(親密)さと開放感と、
一種の礼儀正しい正確さが共存したユニークな空間。


写真撮影自由、
ソファー等にも座ることができます。
このままずっといて、ゆっくり本でも読んでいたい気持ちになります。


***


さて、2階。
こちらはほぼ完全にプライベートな空間です。


大きく4部屋に分かれています。
湖側に3部屋、大使の寝室や子供部屋など、
ベッドや鏡台やクローゼットの置かれた部屋が並びます。

それぞれの部屋は、
ベッドカヴァーや、カーテン、家具の色などによって、
「青の部屋」「ピンクの部屋」などと呼ばれていたそうです。
現在も、それぞれの部屋の名前に合わせた色合いの
小さな花柄のカーテン等がかかっていて、
当時をしのばせます。

二階ピンク

二階青大使の部屋


それにしても戦前のゆがんだガラスっていいですよね。
(写真だとあまり分かりませんが…)
ゆがんだガラス


***


もう一室は湖と反対側に設けられた「休憩室」。
奥行きは2メートルもないくらいに思えましたが、
こちらも窓が大きく取られ、
林の緑がほどよい陰りを提供しています。


ところで実は、本建物は、建築当時のものではありません。
昭和3(1928)年に建てられたのち、
平成9年まで実際に歴代イタリア大使が使用していたそうですが、
かなりの老朽化から解体され、
なるべくもとの状態を保った形で復原されたものです。

2階の個室のうち2室、そして休憩室は、
さわらなど栃木産の木材が使用されていますが、
それは復原時には杉皮を全室に使うのが
難しかったからのようです。

往時は、2階も全て杉皮で覆われていたのです。
今となっては実現がほぼ不可能な
貴重な建物です。


色々な細部も楽しいですよ。

錠(ねずみ) 錠(ベスト) 錠(鳳凰)
雨戸 木のサッシ


***


さて、建物には上記のようなメインの部屋以外に、
観光地となるにあたって設置されたと思われる部分もあります。

caffe como(カッフェ・コーモ)という喫茶スペースがある、
と事前に調べていましたが、
喫茶店というよりは、
お土産売り場で飲み物を購入し、
飲食可能な一室で飲むことができるというもの。
メインとなるような食べ物などはないようですので、
おなかは別の所で満たしていきましょう。

なお、このお土産売り場は
かつてのキッチンだった場所だそうです。

最後に・・・、
お手洗いは、完全に現代風の設備ですが、
壁や天井はやはり美しい杉皮張り。
おみのがしなく。


次回は、
この建物を設計したアントニン・レーモンドについて、
そして国際避暑地であった日光について書いていきます。


旧イタリア大使館別荘
開園期間:4月1日~11月30日
開館時間(本邸及び歴史館の利用)
4~6月、9~11月:午前9時から午後4時
7~8月:午前9時から午後5時
TEL 0288-55-0880 (日光自然博物館)
http://www.nikko-kankou.org/spot/117/(日光旅ナビ)
http://www.nikko-nsm.co.jp/building/italia(日光自然博物館)


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